活動報告

生活安心コーディネート事業(鹿児島県鹿児島市)

【概 要】

失業、生活困窮、引きこもり、DV、虐待、家庭不和などにより、傷つき体験を抱えたまま、孤立状態に陥っている支援対象者に対し、即時的・継続的かつ、きめ細やかな相談支援等を行うことにより、課題の整理や問題解決能力を向上させるとともに、自尊心や自己責任感を保ちながら、日常生活・社会生活への参加の促進を図る。

 

【利 点】

▼地域支援団体との連携、協働を図ることで複合的な課題の早期解決を図る。

▼支援活動を通じ、路上生活化した相談者の早期発見、相談対応を実施する。

▼支援団体関係者を含む、ボランティアスタッフと定期的な会議を開催し、問題解決策や支援方法の共有化を図る。

 

【実施に至るまで】

計画を立てる上での工夫

①支援対象者の掘り起こしを図るため、チラシの配布を行った。

②個人情報を守るため、匿名でのメールや電話での相談にも対応できる体制を作った。

③アウトリーチによる訪問や巡回では相談者の希望を優先し、業務時間外でも対応した。

④支援活動に各支援機関のスタッフが参加し、意識の共有化を図った。

※アウトリーチ…対象者へこちらから出向くこと。

 

具体的な内容

▼相談窓口として専用HPを開設し、メールによる相談を受け付ける。

・相談内容に応じ、面談場所を設定し、問題対応には専門家が帯同し面談を実施。

・週3回の炊き出しを相談窓口の場としても活用し、問題解決に随時対応。

 

▼通常支援活動(炊き出し・夜回り・料理会)を支援団体と協働で開催。

・相談者が参加した場合の、迅速な支援体制の確立。

・鹿児島県医療ソーシャルワーカー協会、NPO法人やどかりサポート鹿児島、一般社団法人よりそい支援鹿児島と協働で「NPO法人つながる鹿児島」を立ち上げ、平成29年度の設立に向け支援事業を開始した。

・NPO法人つながる鹿児島主催のつながる相談会の前日に夜回りを実施することで、迅速な相談体制を整えた。

・支援者によるアウトリーチ活動、問題点を解決するための支援者委員会を設置し、12回開催した

・不動産、医療、福祉施設などの事業者による事業者委員会を設置し、5回開催。

 

▼問題解決後の定期的な交流活動。

・当会や連携機関が実施する交流イベントの案内を毎月自宅に送付し、参加を呼び掛け、孤立化の防止に努める。

・身寄り問題に特化した支援対策として、当会が主幹団体となり「身寄り問題対策総合地域づくり事業」を実施した。福祉、法律の専門家による相談会を毎月実施、当事者同士の互助会的組織として「鹿児島ゆくさの会」を設立。当事者交流の場として「おひとり様ランチ会」を開催。

・平成29年度より新団体NPO法人つながる鹿児島が住居確保後の支援事業を継続し、支えあう会が協力する体制となった。

・福祉サービスなどを利用している場合、支援団体と相談者の現状について定期的に確認。

 

【成 果】

▼通常支援活動における協働団体・ボランティア参加者の増加。

 

▼相談者の課題解決に迅速に取り組むことで若年層も含め長期路上化を防止することができた。

※平成27年度以降、炊き出し新規参加した方で現在も路上生活を続けている人は0である。

 

▼支援活動の地域認知度の向上。

※一般の方から、路上生活者の目撃情報や対応方法の相談に関する連絡が増加した。

 

▼平成29年度よりフリーダイヤルを導入するとともに相談専門ダイヤルを開設した。

 

▼新団体NPO法人つながる鹿児島の設立により、住居確保後も当事者への支援を継続する体制が整備された。


【補 足】

▼孤立化の防止や近況報告の場として、当会や支援団体の催しの案内を毎月送付している。    

送付対象者は約300名。

※平成28年度時点

毎月発送している催しの案内。

2枚目の支援カレンダー(上記画像)は、相談場所の案内にもなっている。関連団体の連絡先も記載し、問題の早期解決に対応できるようにしている。

 

【課 題】

・フリーダイヤルや相談専門ダイヤルを開設したが、まだ認知度が低い。ポスターやチラシ等広告物を使って認知度の底上げを図る必要がある。認知度が上がれば潜在的な相談者の取りこぼしを防ぐことができる。(実際には相談場面に繋がっていない支援対象者も多いと思われる)

・相談から実際の支援を行った後のフォロー体制を充実させることで、新たな生活課題が発生したときのつまずきを防止することができる。

【事業種別】

 生活安心コーディネート

【準備期間・人数】

 1か月 5人

【予防段階】

 二次予防

【自治体規模】

 人口 59.8万人 財政規模2,500億円

【自治体負担率】

 負担なし(国10/10)

【事業対象】

 失業,生活困窮,家庭不和,DV等の問題により自殺のリスクが高まっていると考えられる者のうち,本事業による支援を希望した者

【支援対象】

 同上

【実施主体・問合せ先】

 NPO法人かごしまホームレス生活者支えあう会  

 TEL:080(4275)0371